bend sinister

21世紀のベスト・アルバム(これまでのところ)<21>

Let's Eat Grandma / I, Gemini

どのような環境で育てば、このような摩訶不思議な音楽を10代の女性デュオが作り上げることができるのか?

ジェニーとローザのふたりはアルバム全曲の作詞作曲にとどまらず、ギター、ウクレレ、チェロ、キーボード、グロッケンシュピール、ハーモニカ、リコーダー、ドラムといった多彩な楽器群の演奏もすべて自身たちで手掛けている(もしかしたらふたりにはクラシックの素養があるのかもしれない)。

デビュー曲でもあるオープニングの「Deep Six Textbook」を聴けば、ケイト・ブッシュ、セイント・ヴィンセント、ビョークといった名前が想起されるかもしれないが、アルバムのその他の曲はもっと複雑な様相を呈しており、決して取っ付き難いわけではないが、一聴しただけでは捉え切れない奥行きの深さを湛えている。

今後の活躍次第ではメジャーな展開もありえるかもしれないが、現時点では21世紀の隠れた名盤、カルトな一枚だ。



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# by ok-computer | 2018-02-19 21:11 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

大阪芸術大学47(平成29年度卒業制作展3)

平成29年度大阪芸術大学卒業制作展その3

小西良宜さんの『わたし』。パネル/高知麻紙/水干絵具/岩絵具/パステル/色鉛筆/ミリペンによる作品。

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甲斐沙伽那さんの『均一な不幸せ』。この方はこのシリーズの作品は3枚出展されていました。

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畑山竜己さんの『憧れ』。ガラスと鉄による作品。

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吉永礼可さんの『Geist』。ミクストメディアによる作品。

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高比良円香さんの『記憶』。素通りしそうになりましたが、よく見ると指が4本なのと「記憶」というタイトルが気になりました。

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# by ok-computer | 2018-02-14 00:00 | アート | Trackback | Comments(0)

大阪芸術大学46(平成29年度卒業制作展2)

平成29年度大阪芸術大学卒業制作展その2

渡邉有沙さんの『nihilism』。<美術学科:油絵・構想>の方ですが、キャプションの素材には<スチレンボード/写真用紙>とありました。どのような性格の作品なのかはぼくには分かりませんでしたが(ゲルハルト・リヒターの作品を意識している?)、惹かれるものがありました。

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横田知憲さんの『モネの主題による龍魚図障子』という作品。日本画の方ですが、通信教育部ということもあるのか、すごく見つけにくい場所に設置してありました。素通りした人や気付かなかった人も多かったと思いますが、ぼくはとても好きな作品でした。

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三好美玖さんの『夜の樹』。タイトル通り、カポーティの短編集「夜の樹」をモチーフにしています。

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5枚目は、縄野日佳莉さんの『想起』。陶土、手捻りによる作品です。

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# by ok-computer | 2018-02-13 00:00 | アート | Trackback | Comments(0)

大阪芸術大学45(平成29年度卒業制作展1)

29年度大阪芸術大学卒業制作展に行ってきました。
今年はオープンキャンパスも同時開催ということで、例年よりたくさんの方が見に来られていたような気がします。しかしながら、一体年間に何回しているんだろう?と思うくらい頻繁にオープンキャンパスを開催されているので関係者の方は大変なのではないかと思います。いつものながらのホスピリティ、ありがとうございます。

卒展からいくつか印象に残った作品を紹介します。

まずは、首藤あかりさんの『ぬくもり』という絵画。水干絵具で下塗りした上に墨で描かれた、3枚のキャンバスに及ぶ巨大なもので、会場で一番目を惹くだけでなく、目を離せなくなるような作品。この方の他の(モチーフの)作品も見てみたくなりました。
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続いては、中村和可さんの『ひとり』。発砲スチロールと樹脂による作品。キャプションには「私は、仕事やプライベートで苦しんでいる一人の男性を想像しつつ、また私自身にも照らし合わせてこのシリーズを制作しています。(中略)現代の世の中は「支えあって生きる」事が難しくなっていると感じ、それを形に表現しました」とありましたが、そんな孤立感をあくまでもポップに表現されているのが素晴らしいと感じました。

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次は、久米川宝さんの『Ihsumuzus』という作品。金属工芸コースの方です。無機質過ぎでもなく可愛過ぎもしない造形と、不規則に偶然に鳴るおりん(?)の音がとても印象に残りました。

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# by ok-computer | 2018-02-12 12:16 | アート | Trackback | Comments(0)

レイモンド・チャンドラー『水底の女』

レイモンド・チャンドラーの『水底の女(湖中の女)』を読了。
村上春樹による新訳シリーズの最後となる一冊。

この新訳シリーズの表紙についていつも思っているのですが、作者のチャンドラーの名前よりも訳者の村上春樹の名前のほうがフォントサイズが大きいのには違和感を憶えてしまいます。以前にもこちらで、そのうち表紙からチャンドラーの名前が消えてしまうのではないか?と冗談を書いたのですが、さすがにそれは無かった(笑)。しかしながら、作者より訳者の名前が大きく表記されているのは今回も同じで、作品総体としては、村上春樹はチャンドラーを超えているかもしれないけれど、村上春樹は『ロング・グッドバイ』に匹敵する作品を(今のところ)書いていないと思っているのでやはり違和感を拭うことができません。まあ個人的な見解ですが。

それはそれとして、チャンドラー・ファンにとっては(おそらく)賛否両論の村上訳ですが、掛け値なしに評価できるのは、これまでの清水俊二の翻訳版ではカットされていた部分を復元した「完訳」版だということ。清水さんは余りにまわりくどいということでテンポ良くするためにカットしたのかもしれないですが、その持って回ったような文章表現や、主人公の探偵フィリップ・マーロウのまわりくどい行動こそが(時にやり過ぎになるとはいえ)チャンドラーの真骨頂なので、日本語でしか読めない読者にとってはこれは本当にありがたいことでした。一方で、村上さん自身があとがきで述べているように、<「ハードボイルド」ミステリー作品としてではなく、固定されたジャンルを超えた普遍的な小説作品として(中略)あの素晴らしい、そしてオリジナルな文体を、細かいところまでできるだけ原文に忠実に、日本語に置き換えてみたかった>が故に、ハードボイルドな雰囲気は減退し、直訳調の文章はところどころ言わんとするところを汲み取るのが難しい部分があって、ぼくは清水訳版を参照して「そうだったのか!」と思ったりしたこともありました。

いずれにしろ(色々感じるところがあるとはいえ)『ロング・グッドバイ(長いお別れ)』以外のチャンドラーの長編作品はどれも一度しか読んだことがなかったので、新訳本の発行を機に改めてチャンドラーの作品を読み返すことができたうえに、とくに『さよなら、愛しい人(さらば愛しき女よ)』と、この『水底の女』に関しては、最初に読んだときよりずっと面白い作品であることに気付かされたのは大きな収穫でした。正直なところ、ロジカルな整合性という部分ではチャンドラーの作品には甘いところがあるのですが、初見では気になってしまうそういったところ以外の、活き活きとした会話の妙や、くどいくらいに婉曲的な比喩表現(村上春樹に通じる部分)をたっぷりと楽しむことができたのはとても貴重な読書体験となりました。

ますます進むガラパゴス化と日本スゴイ!病で(?)海外小説の翻訳作業は風前の灯ですが、そんな状況でも海外小説の積極的な紹介を柴田元幸さんとふたりで支え続けている村上春樹さんの存在は(文句言いつつも)やはりスゴイ!と認識し直した次第でもあります。

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# by ok-computer | 2018-02-01 21:34 | | Trackback | Comments(0)