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フィツジェラルド『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

▼フィツジェラルドの短編集『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(角川文庫)を読了。▼デヴィッド・フィンチャーの映画を先に観たのだが、フィツジェラルドが原作と聞いて、ちょっと意外な気もしていた。▼文庫本の解説を読むと、日本におけるフィツジェラルドの翻訳作品にはかなり偏りがあって、未訳作品も多いのだそう。▼映画のドラマチックな趣とは異なり、原作ではとんでもない設定が淡々と語られいく。▼映画版『ベンジャミン・バトン』は、基本設定は踏襲しながらも、内容的にはかなり異なった、再創造的な作品であることが分かる。▼この辺りは映画と小説とのメディアの違いが関係しているのかも。▼映画のエンディングも感動的だったが、小説のほうも、心身ともに子どもに還っていく、最後の数ページの描写が素晴らしい。▼この部分を読むと、僕のまだ幼い娘と時間について考えさせられる。▼彼女の、彼女が与えてくれる、今という時間はもう二度と戻ってこないのだと。▼表題作以外には本格ミステリー風作品も収められているが、男女や家族の破綻の予感を扱ったものに、やはりこの作家の真価が表れているように感じられた。
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by ok-computer | 2011-03-21 21:13 | | Trackback | Comments(0)
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