bend sinister

2012/2/19

▼坂本龍一の『out of noise』を聴く。▼これは彼の最も非コマーシャルなレコードではないだろうか。▼そして、『B-2 Unit』ほど過激ではないにせよ、『B-2 Unit』以来もっとも挑戦的な作品だともいえる。▼つまり、坂本龍一のCDのなかで『ウラBTTB』しか持っていないような人、主旋律のなかにしか音楽を見出せないような人にはおそらく理解の範疇を超えた音楽になっている。▼前作『CHASM』と似た部分もあるが、あちらほどポップでもカラフルでもなく、より現代音楽寄りであり、モノトーンに近い感触の音になっている。▼1曲目の「hibari」は、ドビュッシー的な親しみやすい主題を、少しずつずらしながら9分間に渡ってひたすら反復していくというスティーヴ・ライヒ的な手法を用いた曲。▼この手法はエンディングの「composition 0919」でも用いられており、アルバムがちょうど円環のような構造になるように図られている。▼2曲目の「hwit」では、イギリスのヴィオール集団、フレットワークをゲストに迎えている。▼この曲をブラインド・テストで聴いたら、エストニア辺り出身の現代音楽家の作品だと思うかもしれない。▼7曲目の「firewater」は、ぼくにはマイ・ブラディ・ヴァレンタインやコクトー・ツインズのように聴こえるが、東大寺のお水取りにおける、大きな松明を持って御堂を動き回るお坊さんの姿からインスピレーションを受けたものだというから面白い。▼他の楽曲にもコメントしたいところだが、ウィキペディアの解説と同じようになってしまいそうなので止めておく。▼付け加えるなら、このアルバムはできればCDで、かつできるだけ良いオーディオシステムで聴いてほしい。▼MP3やプアなシステムだと何曲かは音割れしてしまうだろうし、良いリスニング環境で聴けば音によるトリップのような感覚を味わえるだろうから。

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by ok-computer | 2012-02-18 22:18 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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