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村上春樹『意味がなければスイングはない』

▼村上春樹『意味がなければスイングはない』を読了。▼先日こちらで少し触れたミラン・クンデラの『裏切られた遺言』という評論集は、ぼくがクラシック音楽を聴くうえで指南の書となった一冊。▼『裏切られた遺言』を読んでいなければヤナーチェクやストラヴィンスキーの音楽に興味を持つことはなかったかもしれないし、ベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲の偉大さに気づかなかったかもしれない。▼クンデラ自身が「一つの小説を構成するように」書いたというだけあって、単なる評論を超えた物語(と言って差し支えないと思う)の完成度が非常に高い。▼そして、その文章が魅力的であればあるほど、そこに取り上げられている音楽を聴いてみたいと思うようになる。▼今回の村上春樹の本もそのような部分に期待して読んでみた。▼2冊を較べてみると、その作家性の違いのようなものが現れていて面白い。▼ちょっとエッチな大学教授のようなクンデラと、ちょっとエッチでたまたま作家としての才能に恵まれたレコードコレクターのような村上、という感じだろうか。▼『意味がなければスイングはない』で気に入ったのはブライアン・ウィルソンとシューベルトの項。▼どちらの文章も結びへの持っていきかたがなかなか素敵だ。▼アート(表現)に何ができるのか?という命題が持ち出されるとき、ぼくはこういった本のことを考える。▼村上春樹のこの本を読んだあと、ウィントン・マルサリスの『シック・イン・ザ・サウス』を購入し、スガシカオのまだ聴いていなかった2枚のアルバムを図書館で借りてきた。▼優れた文章(アート)というのは受け手の心を震わせるだけでなく、その波動を行動に伝播させることができるのだ。
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by ok-computer | 2012-03-28 21:12 | | Trackback | Comments(0)
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