bend sinister

2012/5/5

▼バッハの無伴奏チェロ組曲を聴く。▼クラシック音楽のなかでひとつだけと言われれば、ぼくはこの曲集を選ぶかもしれない。▼第1番のプレリュードは誰もが知っている曲だろうし、作品全体としてもそれほど難解なものだとは思わないが、全36曲のそれぞれに深い思索と精神性とが秘められているようで、聴けば聴くほどこの作品が汲めども尽きることのない(チェロ一本で奏でられているにも関わらず)巨大なものであるような印象を強くする。▼今回聴いたのは人気チェリスト、ヨーヨー・マの2回目の録音盤。▼6つのサラバンドはこの曲集のなかでも白眉のものだとぼくは考えているのだけれども、マの演奏はこのサラバンドをどれも遅めのテンポでじっくりと弾いていて曲自体の持つ瞑想的な雰囲気を更に際立たせている。▼この演奏の特徴は調弦を通常よりも低めに設定していることで、そのせいもあって低音の迫力が凄まじい。▼しかし、これだけ低音が強調されても音楽はリズミカルで、決して重くはならないところがこの奏者ならではなのかもしれない。▼ヨーヨー・マの1回目の無伴奏チェロ組曲の録音については響きが軽すぎるように感じる部分もあったので、ぼくとしてはこの演奏のほうが好ましく感じられる。▼録音は演奏上どうしても出てしまうノイズをも含めてチェロから出る音はすべて収めようとする意欲的なもので、なかでも最後の一音がゆっくりと空間から消え去ってゆくさまが非常に美しく捉えられている。

f0190773_12114112.jpg
[PR]
by ok-computer | 2012-05-05 12:11 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://bends.exblog.jp/tb/17504117
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]