bend sinister

2012/7/9

▼坂本龍一のサントラ『LOVE IS THE DEVIL』を聴く。▼映画自体がマイナーなのであまり知られていないが、これは隠れた傑作だと思う。▼『ラストエンペラー』や『シェルタリング・スカイ』の音楽は叙情的で甘ったるいと感じている人、ブライアン・イーノのアンビエントものを愛好する人、ノイズ音楽や現代音楽に造詣が深い人であれば是非聴いてみてほしい。▼全編に渡ってピアノとシンセサイザーのみで作られていて、人によってはノイズそのものにしか聴こえないトラックも含まれている。▼とはいえ、いくつかの主題がタイトルを変えつつ、何度か繰り返される手法は坂本のみならず、映画音楽全般にみられるもので、特別にアヴァンギャルドな作品というわけではない。▼ただし、主要なモティーフが必ずしも分かりやすいものではなく、サウンドも切り詰められたクールなものなので、いつもの坂本の映画音楽とは意匠が異なって聴こえるし、それがこのアルバムを特別なものにしていると思う。▼最後の(現行のCDではその後に3曲ボーナストラックが追加されているが)タイトル曲はまるで『BGM』や『テクノデリック』の頃のYMOみたいな曲で、それまでの雰囲気からすればアルバムのなかで若干浮いている気もしなくもないが、平均的な坂本ファンには喜ばれるのかもしれない。▼こういった曲を聴くと、坂本龍一という人はもの凄く親切というわけではないのだろうが、徹底的に冷酷にはなれない人なのだろうなと想像する。▼最近の彼の社会的な活動をみていてもそういう感じを抱いてしまう。

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by ok-computer | 2012-07-09 17:39 | 音楽 | Trackback | Comments(2)
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Commented by NostalgiaCoffee at 2012-07-22 14:36
はじめまして・・・
映画もサントラのこともまったく、知りませんでした!!!
"bend sinister"
とっても勉強になります。
by望郷珈琲
Commented by ok-computer at 2012-07-27 21:50
コメントありがとうございます!

最近まったくブログをチェックしていなかったので返信が遅れてしまいました。スミマセン。

坂本龍一さんの音楽が分かるようになったのは比較的最近のことで、色んなジャンルの音楽を聴くようになってから彼の音楽の魅力に開眼しました。そういう意味では、ロック/ポップス(あるいはエレクトロニカ)の文脈で坂本氏の音楽を捉えることはできないのではないかと考えたりもします。

映画自体は僕も未見です。サントラは最高だし、フランシス・ベーコンの絵画も好きで画集も持っているのですが、映画はなかなか観る機会を持てないでいます。

お気に入りブログの主さんからコメントいただけるなんて感激です。今後ともよろしくお願いします。