bend sinister

2013/2/11

▼ルドルフ・ゼルキンのベートーヴェン録音集(11枚組)を聴く。▼お馴染みソニー・クラシカルによる激安ボックス。▼最初の3枚にはピアノ協奏曲が収められているが、これらの作品は聴き過ぎてしまって、少しばかり食傷気味かもしれない。▼『皇帝』を史上最高のピアノ協奏曲だと感じていた時期もあったりしたのだけれども。▼それに較べると、最後の11枚目に収録されている三重協奏曲はそれほど聴く機会がないせいもあってまだ面白く聴ける。▼ネットで調べると、この作品は失敗作だとか凡作だとか散々な言われようだが、そんなに酷い曲だろうか?▼ベートーヴェンの交響曲や協奏曲の場合、一部の作品を除けば革新性や深遠さよりも祝祭感みたいなものを優先するのは共通している部分で、この作品も例外ではないと思うのだが。▼続く6枚は全32曲中のうちの17曲を収録したソナタ集で、これが良かった。▼『熱情』など、やはり聴き過ぎの時期もあったのだが、それを通り越して改めて作品の素晴らしさを感じている。▼一方、まだその良さを理解できていないのは『ハンマークラヴィーア』、特に最後の2つの楽章なのだが、以前にポール・ルイスという人の演奏を聴いて少し分かったような気になって、今回のゼルキンでさらに作品に近づけたようで、あと一歩といった感じ。▼もうひとつ苦手な作品が10枚目に収められた『ディアベッリ変奏曲』で、この曲の場合、良さが理解できないというより、良さなどあるのか?とさえ感じることもあるのだが、今回もその感は払拭できず。▼ゼルキンの演奏は、客観的なテンポ設定によって作品の良さが聴き手にストレートに伝わってくると感じる。▼例外は(ぼくがとりわけ好きな)30番のソナタで、第一楽章のふたつの主題のテンポが違うのが他の多くの演奏とは異なるが、ウィキペディアによると「第1主題は2/4拍子でヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ、第2主題はこれとうってかわって3/4拍子でカデンツァ風のアダージョ・エスプレッシーヴォ」とのことなので、ゼルキンのほうが譜面に忠実な演奏ということになるのかもしれない。▼ところで、このセットの何箇所かで、無音部で先にある音が少し聴こえる、「プリエコー」とか「ゴースト現象」と呼ばれる事象が(LPでもないのに)起こっているので、不思議に思ってネットで調べてみると、どうやら長期間保存している間にマスターテープの無音部分に磁気が転写することが原因ではないかということらしい。

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by ok-computer | 2013-02-11 16:48 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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