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ウディ・アレン『ミッドナイト・イン・パリ』

▼ウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』を鑑賞。▼最近は映画館に行くこともなくなって、ビデオ鑑賞する時間もほとんど持てないでいたが、久しぶりに時間を取って観ることのできたこの作品は本当に素晴らしかった。▼映画っていいな、ウディ・アレンっていいな、との想いを新たにさせてもらった。▼小説家志望の脚本家が婚約者とその両親とともに憧れのパリを訪れるところから映画は始まる。▼真夜中のパリの街で道に迷った主人公の目の前にクラシックカーに乗った人々が現れ、誘われるがままに同乗して辿り着いた先はジャン・コクトーが主催する1920年代のパリのパーティー会場だった・・・。▼ウディ・アレン映画に主演する俳優はみんなウディ・アレンみたいな喋り方と演技をするのだが、この作品のオーウェン・ウィルソンはもともとコメディ映画に多数出演していて手慣れていることもあるのか、あまりアレン臭さを感じさせないところが良かった。▼アレン映画にはちょっと軽過ぎるかな?と事前には感じていたが、彼の持つ軽めのテイストが逆に1920年代にタイムスリップして憧れの人々に会えたことの素直な喜びをストレートに表現できていたと思う。▼この映画の楽しみのひとつはタイムスリップした主人公が出会うコール・ポーター、スコット&ゼルダ・フィッツジャラルド、ヘミングウェイ、ピカソ、ルイス・ブニュエルといった過去の巨匠たちの描写とそっくりさん度合いにあるが、ガートルード・スタインを演じたキャシー・ベイツがどう見てもキャシー・ベイツ自身にしか見えなかったり、ダリを演じたエイドリアン・ブロディが(ダリっぽい雰囲気はあったが)安っぽい物真似芸人みたいに「私はダリだ!」と連発するところは可笑しかった。▼一方、マン・レイを演じた人は本当に写真で見るマン・レイにそっくりで驚いてしまった(あなた誰?)。▼また、マリオン・コティヤール演じる、ピカソのモデル兼愛人のアドリアナ(過去にはモディリアーニやブラックの愛人でもあったという設定)はいかにもその時代に実在しそうな人物だが、彼女はアレンの創作による人物とのことで、主人公の運命を変えるキー・パーソンとなる。▼1920年代の人々はベル・エポックの時代に生まれていたらと悔やみ、ベル・エポック期の人々はルネサンス時代に生きたかったと想いを馳せる。▼単純な夢物語には終始せず、逃避としてのノスタルジアを(やんわりと)揶揄しながらも、現実世界に生きる希望を抱かせてくれる、ウディ・アレンならではの名人芸!

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by ok-computer | 2013-08-03 22:28 | 映画 | Trackback | Comments(0)
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