bend sinister

シュニトケ、ヴィヴァルディ、ブラームス

▼シュニトケの弦楽四重奏曲第4番。▼アルバン・ベルク弦楽四重奏団による演奏。▼アルバン・ベルクが現代曲を演奏するなんて、ちょっと珍しい気もするが、そもそも作品が彼らに献呈されており、これは世界初録音となるライブ盤。▼いかにも晩年にさしかかったシュニトケらしい、内省的な響きが支配的だが、偶数楽章には激しい部分もみられ、メリハリのある構造によって単調さに陥るのは避けられている。▼こういっては何だが、同じディスクに収められたヴォルフガング・リームの作品と較べると格が違うと感じる。(リームが好きな人はごめんなさい)▼鬱屈とした第一楽章から、突然分かり易いメロディが登場する第二楽章への飛躍など、いかにもシュニトケならではという印象。▼最終楽章が静かに締めくくられるので、拍手するタイミングを計りかねている観客の戸惑いもきっちり録音されているところがなんとも微笑ましい。

▼デイヴィッド・ダニエルズの独唱とファビオ・ビオンディ指揮(とヴァイオリン)エウローパ・ガランテによるヴィヴァルディ『スターバト・マーテル』ほか。▼いろんな作曲家が書いている『スターバト・マーテル』だが、ぼくはヴィヴァルディの曲が一番好きだ。▼ペルゴレージも有名だが第一曲が傑出しているのに対し、ヴァヴァルディは全9曲(同じ曲の繰り返しもあるが)がどれも水準以上で、作品全体では軍配が上がるように思う。▼ヴィヴァルディのこの曲については以前サラ・ミンガルド独唱盤を取り上げて、これじゃないと満足できないというようなことを書いたが、ダニエルズ盤も聴き返してみると存外とても良かった。▼バッハのカンタータの演奏をいろいろと聴いて、カウンターテナーに対する苦手意識が以前より和らいでいることも影響しているのかもしれない。▼ただ、第8曲の『この心を燃え上がらせてください』については、やはりミンガルド盤には及ばない。▼おそらく(ミンガルド盤の)リナルド・アレッサンドリーニの解釈のほうが特異なのだろうが、他の演奏ではさらりと流し過ぎていて不満が残る。▼ダニエルズ盤に戻ると、併録された『ニシ・ドミヌス』も大好きな作品で、とくに第四曲の『主は愛するものに眠りを与えたもう』はヴィヴァルディの書いた最も美しい曲のひとつだと思う。▼ラース・フォン・トリアーの映画『ドッグヴィル』において、この曲の前奏部分が何度も使用されていたのも記憶に残っている。

▼ブラームスのピアノ協奏曲第2番。▼スティーヴン・ハフの独奏とアンドルー・デイヴィス指揮BBC交響楽団による演奏。▼ハフは現役のなかで最も評価の高いピアニストのひとりだが、Hyperionというレギュラープライスの設定が他のレーベルより高めでバーゲンも滅多にしないレコード会社に現在は所属しているため、これまでぼくとは縁がなかったが、以前所属していたVirgin Classicsへの録音を集めた5枚組の廉価盤が発売されたのでこれ幸いと購入した。▼この作品は協奏曲には珍しく4楽章構成であり、その規模の大きさもあって、しばしば「ピアノ独奏を伴う交響曲」とも呼ばれる作品。▼ピアノ独奏はもちろん、第一楽章冒頭のホルンや第三楽章のチェロ独奏をはじめ、オーケストラの見せ場も多く、きっとオケの団員にとっても演奏のしがいのある作品なのではないだろうか。▼また、それぞれの楽章において第一主題のみならず、魅力的な第二主題(副主題?)を持っていることも聴き所で、とくに第四楽章の第二主題の叙情的なジプシー風旋律(ちょっとドヴォルザーク的)が個人的には好きだ。▼この演奏はオーケストラの音が明るめなのが特徴で、どちらかというと深刻な感じに演奏されることが多いブラームスにおいては少しばかり新鮮で、これがスタンダードかどうかは分からないが、複数の演奏を聴くのであればこんな一枚があってもいいと思う。▼先に述べたようにこれはVirgin Classicsの音源なのだが、ご存知のように親会社のEMIがWarnerに買収されたために、この5枚組もWarner Classicsからの発売になっていて、それぞれのCDが収められた紙ジャケも一応オリジナルの体裁に準じてはいるのだが、元々あったVirginレーベルのロゴはデザインからすべて消去されていて、なんというかレコード会社の諸行無常を感じさせてくれる。

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by ok-computer | 2013-11-11 01:55 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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