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マーラー『亡き子をしのぶ歌』

▼マーラーの『亡き子をしのぶ歌』を聴く。▼この曲集を完成させた4年後にマーラー自身が娘を亡くすという出来事があったために呪われたイメージというか、なにかと曰くありがちに語られることが多い。▼作曲している間はまさか自分も娘を亡くすとは露ほども思っていなかったのかもしれないし、あるいは交響曲第6番『悲劇的』と創作期間が重なることから、その時期マーラーがダークな題材に惹かれていたということもあるかもしれない。▼とはいえ、幼い娘を持つ親の身にありながら、わざわざこのような題材を取り上げたことに対して詮索されるのこともまた致し方ないことなのかもしれない。▼そんな作品のミステリアスな背景はひとまず置いておくことにして、ケン・ラッセルの映画『マーラー』(傑作!)で印象的に使われていたこともあって、この曲集には比較的早くから親しんできたし、個人的にはマーラーの歌曲で最も好きな作品といってもいい。▼この度は、まず先日取り上げたバーンスタインのマーラー全集の余白に入っていたジャネット・ベイカー独唱による演奏を聴いたのだが、ぼくがこの曲集に抱くイメージとはやや違っていたので、クリスタ・ルートヴィヒの独唱とカラヤン指揮ベルリン・フィルの伴奏による録音で聴き直してみた。▼ルートヴィヒといえば、オットー・クレンペラー指揮の『大地の歌』における名唱が印象に残っているが、この録音でも曲が持つ沈鬱なイメージをいささかも損なうことなく、品の良さと深い響きを感じさせる歌唱を披露しており、痛ましくも美しい作品の素晴らしさとも相俟って、すっかり聴き惚れてしまった。

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by ok-computer | 2014-01-06 20:40 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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