bend sinister

坂本龍一『COMICA』

▼坂本龍一の『COMICA』を聴く。▼サカモト流アンビエント・ミュージック、あるいは都市生活者のサウンドトラックとでもいうべき内容。▼「dawn」「day」「sunset」「night」というタイトルからも分かるように、最初の4曲は組曲的な繋がりを持つものになっていて、控え目な電子音のうえに素描的なピアノがポツリポツリと紡がれてゆく。▼この文章を書いている最中に流していてもまったく邪魔にならないどころか、意識しなければ音楽の存在さえも忘れてしまいそうな、まさに「アンビエント」な音楽でありながら、雲のような音の塊が後半になるにつれて徐々に高まりをみせていくところなど、能動的な鑑賞にも耐えうるクオリティとなっていることは(当たり前だが)さすがと言うしかない。▼後半2曲はピアノ抜きで、ややノイズ音楽、または現代音楽寄りの作品となっている。▼とくに5曲目の「d2」はこのアルバムの白眉ではないだろうか。▼聴く人が聴けば耳障りとしか思えないであろう高周波ノイズが逆説的な心地良さを誘う。▼以前にも書いたが、坂本龍一のメロディーメイカーとしての才能は、彼のラジカルな本質を隠してしまう、ときに諸刃の剣のような足枷となっているような気がすることがある。▼それゆえに、この『COMICA』のような、メロディーの呪縛から解き放たれたような作品を聴くと、彼のエッセンスがダイレクトに伝わってくるようで個人的には好ましく感じられる。▼ビミョーなイラストのジャケットのせいで損をしているが、コンディションにこだわらなければ比較的安価で入手することは可能なので、『out of noise』が好きな方であれば聴いてみても(聴き手は)損はしないと思う。

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by ok-computer | 2014-06-19 22:56 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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