▼カラヤン指揮によるグリーグとシベリウスの作品集。▼元々は3枚のアルバムに分売されていた音源をまとめたもので、結果的にカラヤン名曲集みたいになっているが、素晴らしい楽曲・演奏・録音が揃った文句なしの一枚。▼収められた曲のうち、グリーグの『ホルベルク組曲』をちゃんと聴いたのは初めてだが、聴いた途端名曲であることを確信してしまう(というか、「あ、この曲聴いたことある!」と思ってしまう)作品だ。▼バロック音楽の様式を借りて書かれた楽曲だが、ストラヴィンスキーやシュニトケの、どちらかと言えばパロディの側面の強いそれらとは違って、グリーグはバロック音楽に真っ正面から、かつ大真面目に取り組んだような印象がある。▼ただし、旋律は隠しようもなくロマン派的で、そこがグリークの個性ということになるのかもしれない。▼併録されたシベリウスの管弦楽作品もいずれも名曲・名演奏で、素人のぼくにはカラヤンのシベリウスを批判する人が(とくに日本のクラシック・ファンに)多いのがよく分からない。▼『フィンランディア』はカラヤンにしては珍しく遅めのテンポだが、上手く緩急をつけた説得力のあるもので、これを聴くと他の演奏が「早すぎる」と感じてしまいそうになる、ある意味恐ろしい演奏。