bend sinister

最近聴いたもの(シューベルト即興曲集、ケイト・ブッシュ)

▼シューベルトの『即興曲集D.899&D.935』。▼シューベルトの作品にはそれほど詳しくないのでおこがましいかもしれないが、これまでに聴いた彼の作品のうちで最も好きな曲集である。▼クラシックを聴き始めてから比較的日が浅い頃に、この曲集の(別の)CDを購入したと記憶しているが、本当に好きになったのは『列車に乗った男』というフランス映画でD.935-2がとても印象的に使われているのを耳にしてから。▼最近では『愛、アムール』でも、D.899-1とD.899-3の2曲が使用されていた。▼どちらの映画についても、寡黙な作風のなかに叙情的なシューベルトが流れて、登場人物の内なる声を代弁しているかのように感じられたものだ。▼それぞれ4曲ずつで、全8曲を演奏すると約1時間にはなるので、決して短くはないが、シューベルトのピアノ・ソナタの「天国的な長さ」を知る者にとっては随分と聴きやすく、ほど良いサイズのなかにシューベルトのエッセンスが詰まった、彼のピアノ作品の精華だと思う。▼今回聴いたのは、アルフレート・ブレンデルによる70年代の録音。

▼ケイト・ブッシュの『Hounds of Love』と『The Sensual World』。▼現在『Before the Dawn』と題された、10月1日まで続くライブをロンドンで開催中の彼女だが、本格的なコンサートを行うのは35年ぶりとあって、チケットはすべてソールドアウト、そして彼女のすべてのアルバムがイギリスのチャートにランクイン、とちょっとした祭り状態になっている。▼『Hounds of Love』は彼女の代表作であるのみならず、各種メディアのベストアルバム・リストでも常連の一枚ともなっている(NMEが昨年発表したオールタイム・ベスト500アルバムでも48位にランキング)。▼「Running Up That Hill」はよく聴くが、アルバム全体を聴き通すのは久しぶりで、もっと大作のイメージを持っていたが、収録時間は48分に満たないのが意外だった。▼前半はポップな楽曲、後半は組曲というコンセプトは後年の『Aerial』と共通だが、『Hounds of Love』はよりコンパクトで、よりストレートな(分かりやすい)作品になっていると思う。▼「Running Up That Hill」と「Cloudbusting」という彼女の最も素晴らしい楽曲が含まれたアルバムであり、後半の『The Ninth Wave』と題された7曲からなる組曲は、今回のライブ『Before the Dawn』でもまるごと演奏されている。▼一方、『The Sensual World』はそのタイトルとは裏腹に(?)非常に落ち着いた作風で、マイケル・ナイマンやナイジェル・ケネディ、それにトリオ・ブルガルカといった、フィールド違いのゲストも参加しているのだが、そんな外部からの新規参入程度では左右されないケイトの世界観が完全に出来上がっている。▼このアルバムのなかでは「Reaching Out」や「This Woman's Work」など、ピアノ中心の楽曲が気に入っている。▼『Hounds of Love』が傑作すぎてあまり顧みられないアルバムだが、今もなお抗いがたい魅力を持つ作品だ。

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by ok-computer | 2014-09-03 17:48 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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