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ポール・ウェラー『Wild Wood』

▼ポール・ウェラーの『Wild Wood』を聴く。▼これほどの長期間に渡って、作品の質を落とすことなく第一線で活躍しているというのは彼とニック・ケイヴくらいのものだろう。▼しかもポール・ウェラーの場合、ずっと(イギリスでは)スターであり続けているのが凄いと思う。▼もちろん紆余曲折はあって、スタイル・カウンシル解散からソロ活動開始にかけてあたりがウェラーのキャリアにとっての危機とも言える時期だったかもしれない。▼スタイル・カウンシル後期には評価・人気ともに低く、ソロ活動を始めるにあたってもなかなかレコード会社が決まらず、その当時人気のあった世界で唯一ともいえる国の日本で最初にソロ契約をしたという経緯を記憶している。▼結果的に1stソロ・アルバムはイギリスでも日本でもチャートのトップ10に入り、評価的にもまずまずの成功を収めた。▼続いて、翌年に発表されたこの『Wild Wood』はさらなる高い評価とセールスを得ることになり、その後現在に至るまで息の長い活動を続けているわけだが、スタイル・カウンシルにあまり興味のなかったぼくにとっては、ザ・ジャム時代以来久々の復活作として印象深かったし、いまでも彼のソロ作品では一番好きなアルバムである。▼オープニングの「Sunflower」は「The Changingman」や「Peacock Suit」といった、その後の彼の創作活動の中心となる楽曲のプロトタイプとも言えるもので、なにかこの曲を書くことによって突破口が開けたような、そんな清々しさがある。▼ジャムの「English Rose」やスタカンの「You're the Best Thing」など、それまでにも彼のアコースティック・ナンバーには定評があったわけだが、このアルバムにおけるタイトル曲や「Country」でもそれは言えて、この素晴らしい作品のなかでも聴き所のポイントとなっている。▼ぼくがこのアルバムで特に気に入っているのがそのサウンドで、アーシーなロックと枯れたアコースティック、それに控え目で効果的な電子音とが実に自然な形で共存している。▼スタイル・カウンシルの頃のように露骨にオシャレな音を狙っているわけではないのに、出てくる音は(少し外していたスタカン時代より)よほど洗練されていて耳に心地好い。▼ところで、あるファンサイトに2011年にウェラーが受けたインタビューの翻訳が掲載されており、そこにあった発言が格好良かったので最後に引用しておきたい。▼Q.では、あなたはクラシックなアルバムのライブはやらないんですね? W:いや、来年、俺はクラシックなアルバムのライブをやるよ。だが、それは俺の場合は、めちゃめちゃ凄い新作のことだ。20年前のもんじゃねぇ。

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by ok-computer | 2014-09-23 14:33 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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