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ファラオ・サンダース『Karma』

▼ファラオ・サンダースの『Karma』を聴く。▼コルトレーンの晩年の作品、『Kulu Se Mama』や『Meditations』といったアルバムが苦手な人にとっては、ファラオ・サンダースの名前を聞いただけで拒絶反応を起こすかもしれない。▼あの首を絞められた断末魔の叫びのようなサックス・プレイを延々と聴かされてしまうのかと。▼ところが、コルトレーンの死の2年後にリリースされたこのアルバムでは部分的にはフリージャズの要素も垣間見られるが、サンダースがすでに新しい境地へと移ったことをはっきりと感じさせる。▼1曲目の32分にもおよぶ「The Creator Has a Master Plan」では助奏の後、フルートによって奏でられるリフが楽曲のイメージを決定づける。▼それはフリーやサイケデリックというより、ブラジリアン・テイストの入ったフュージョンのような音楽で、クラブでかかったとしても違和感がないだろうし(多彩で華やかな打楽器の音は踊るのにピッタリかもしれない)、後にパット・メセニーが『Still Life (Talking)』で試みたような音楽をずっと以前に先取りしたものだともいえる。▼もちろん、ファラオの掠れたような独特なテナー・サックスの音は随所で聴くことができるが、ここでは音楽が安寧なものに陥らないためのちょうど良いアクセントとして機能しているように思う。▼続く「Colors」は前曲の強烈な印象からリスナーをクールダウンさせてアルバムを閉じる、優しい雰囲気を持った楽曲。▼コルトレーンのアルバムを聴いていただけでは、ファラオ・サンダースにこのようなオーガニックなメロディを書く才能があったとはまったく想像もつかない。▼最近聴いたなかでは最も驚かされ、かつ最も興奮させられた一枚。

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by ok-computer | 2014-10-20 00:00 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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