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フランソワ・オゾン『しあわせの雨傘』

▼フランソワ・オゾンの『しあわせの雨傘』を鑑賞。▼原題は『Potiche』というもので、劇中の台詞のなかで何度も登場し、「飾り壺」という風に訳されている。▼主人公の夫が経営しているのが傘工場であることと、カトリーヌ・ドヌーブの代表作(決して最高傑作ではないが)『シェルブールの雨傘』に引っ掛けた邦題になっているわけだが、ストーリーを見事に象徴している原題を少しでも生かしてほしかったという気が(映画を観終わった後には)してしまう。▼フランソワ・オゾンは長編デビュー作『ホームドラマ』を観て、「すごい監督が現れた!」と大いに期待したものだが、それ以降コンスタントに映画を制作してはいるものの、デビュー作から飛躍的には作品の向上が見られないという印象が(個人的には)ある。▼しかしながら、歌と踊りがあって、カラフルな色彩があって、性的に放埒で、ストーリーにはツイストを効かせた、この『しあわせの雨傘』には、かつての『ホームドラマ』や『焼け石に水』などに通じる最良のオゾンのテイストが楽しめる。▼前述の『シェルブールの雨傘』に加えて、ドヌーブとジェラール・ドパルデューの共演ということでフランソワ・トリュフォーの『終電車』にオマージュした部分もあるのだろうが、そればかりに気を取られているとどんどん予想をはぐらかされていく。▼これは両作品でドヌーブが演じたような古風な女性像から脱皮していくことを戯画化されたコメディタッチで描くドラマなのだ。▼その予想を裏切っていく(あるいは予想を超えていく)展開のダイナミズムみたいなものが、この作品を際立たせる原動力となっている。▼ちなみにこの映画はGyaO!で視聴したのだが、10/29までの期間限定無料配信なので、興味のある方は早めに是非。

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by ok-computer | 2014-10-25 21:48 | 映画 | Trackback | Comments(0)
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