最近聴いたもの。(コールドプレイ、シューマン)
▼シューマンのピアノ四重奏曲とピアノ五重奏曲を聴く。▼ピアノ四重奏曲のほうは聴くのは初めてで、まだまだぼくが知らない名曲というのはあるものだなあと感じ入った。▼シューマン、そしてシューベルトやブラームスなどの音楽を聴いていると、ベートーヴェンの与えたインパクトの大きさのようなものを感じることがあるのだけれど、このピアノ四重奏曲の出だしの動機はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第15番の冒頭にそっくりで、それをモティーフにしながら新たな主題へと辿り着いていくさまは、楽聖ベートーヴェンをお手本にしながらもそれを乗り越えようとするシューマンの試行錯誤の現れではないかと想像したりもする。▼これら素晴らしい2作品のなかでも、四重奏曲の第3楽章と五重奏曲の第2楽章は、憂鬱な浪漫性と夢見るような叙情性を持つシューマンの典型として際立って響いてくるものがある。▼シューマンは交響曲や協奏曲よりも、ピアノ曲も含めた室内楽の作品のほうが圧倒的に素晴らしいと考える。▼おそらく規模の大きい作品だと大音量のなかでかき消されてしまいがちなシューマンのメランコリー、内省や内なる声みたいなものが音数の少ない楽曲のほうがダイレクトに伝わってくるからなのかもしれない。

