bend sinister

最近聴いたもの。(コールドプレイ、シューマン)

▼コールドプレイの『Ghost Stories』。▼熱心なロック・ファンのなかにはこのバンドを見限った人も多いのかもしれないが、このアルバムはどうしてなかなか悪くない。▼前作『Mylo Xyloto』の悪趣味なまでに装飾過多だったサウンドの反動からか、全編ミニマルで静かな音響世界で統一されている。▼1stが好きなぼくとしては、今回もやはりギターサウンドの復権とはいかなかったのは残念だが、音の感触としては初期の彼らに通じるものがあると感じる。▼クリス・マーティンの弾き語りに控え目な電子音が加えられた「Ocean」が一番気に入ったが、この曲のエンディングに続いて「A Sky Full of Stars」のイントロが鳴り響く瞬間の解放感はこのアルバムのハイライトだと思う。▼CDが売れないこのご時勢にあって、これほど(一見)地味でアンチ・コマーシャルなアルバムを、彼らほどのクラスのバンドが出すというのはなかなかの勇気というか、彼らがまだスピリッツを失ってはいないことを感じさせる。▼売上的にはこれまで通りとはいかないかもしれないが、長期的にみれば、信頼に足るロック・バンドとしての延命を図り得る作品となるのではないか。

▼シューマンのピアノ四重奏曲とピアノ五重奏曲を聴く。▼ピアノ四重奏曲のほうは聴くのは初めてで、まだまだぼくが知らない名曲というのはあるものだなあと感じ入った。▼シューマン、そしてシューベルトやブラームスなどの音楽を聴いていると、ベートーヴェンの与えたインパクトの大きさのようなものを感じることがあるのだけれど、このピアノ四重奏曲の出だしの動機はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第15番の冒頭にそっくりで、それをモティーフにしながら新たな主題へと辿り着いていくさまは、楽聖ベートーヴェンをお手本にしながらもそれを乗り越えようとするシューマンの試行錯誤の現れではないかと想像したりもする。▼これら素晴らしい2作品のなかでも、四重奏曲の第3楽章と五重奏曲の第2楽章は、憂鬱な浪漫性と夢見るような叙情性を持つシューマンの典型として際立って響いてくるものがある。▼シューマンは交響曲や協奏曲よりも、ピアノ曲も含めた室内楽の作品のほうが圧倒的に素晴らしいと考える。▼おそらく規模の大きい作品だと大音量のなかでかき消されてしまいがちなシューマンのメランコリー、内省や内なる声みたいなものが音数の少ない楽曲のほうがダイレクトに伝わってくるからなのかもしれない。

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by ok-computer | 2014-11-22 13:14 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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