「2019・ZERO展 」より、河原和彦さんの『spectrum_color』(1〜7枚目)と東陰地正喜さんの『三連窓』(8〜10枚目)
『spectrum_color』は、元々Ture Dure (つれ・づれ)のPVとして制作されたもので、素材となったビデオ映像の真ん中の一部分を、スマホ画面をピンチアウトするみたいに引き延ばすことで生成されるそのイメージは、形式化されたもののようでいて、複雑な様相も同時に垣間見せます。河原さん曰く「ゲルハルト・リヒターの(「アブストラクト・ペインティング」シリーズのことか?)影響を受けた」とのことで、なるほど様々な色の織り成すラインが移ろいゆく佇まいには共通するものを感じますが、河原さんの作品はより直感的で、偶発的な現象を捉える即興性に重きを置かれているために、それが音楽との絶妙な親和性を生み出しています。
一方、東陰地さんの『三連窓』は、以前に拝見したことがある旧作のイメージを活用しながらも、二つの映像の配置の妙と、そこに万華鏡的な仕掛けを投入することによって、単なるリメイクではなく、リモデル=新たな作品として昇華されているように思われました。