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音楽の海岸

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ダーレン・アロノフスキー『ブラック・スワン』

▼『ブラック・スワン』鑑賞。▼劇中、ナタリー・ポートマン演じる主人公は、演出家から何度も「自分を解き放て!」と叱咤されるが、監督のダーレン・アロノフスキー自身こそが前作『レスラー』を契機になにかから解放されたかのような吹っ切れ感がある。▼手持ちを多用して、主人公の後ろ姿を執拗に捉えるカメラや、複雑な家族との関係など、両作品には共通する部分も多く、『ブラック・スワン』にもやはりスポ根的な要素があるが、主人公の内的な不安や恐怖を映像化して見せるという新趣向が加わり、これが映画をとても面白くする効果をあげている。▼実は前夜寝不足で映画を観ながら寝てしまわないかと不安だったのだが、音や映像によってびっくりさせられる箇所が数多くあったので、眠るどころか、覚醒させられてしまった(笑)▼おそらく観る人によっては下品に写るくだりなども怖れずに描き、最初から最後までまったくダレることなく、エンタテイメントに徹したアロノフスキーの手腕には、かつてのアート系の繊細さに替わって、クリストファー・ノーランに続き、新たな巨匠への道を歩みはじめたかのような大胆さが感じられる。▼ポートマンのアカデミー主演女優賞受賞は誰もが納得の熱演だと思うが、最近彼女の代役を務めたバレリーナが、「あの映画でポートマンが本当に踊っているのは5%だけで、あとは私の体に彼女の顔をデジタル合成しているだけ」と暴露したらしい。▼真偽のほどは分からないが、もしそれが本当であれば、それはそれでまたすごい技術だと感心してしまう。
by ok-computer | 2011-05-14 21:21 | 映画 | Trackback | Comments(0)

2011/5/1

▼クラシック界の「美人」奏者による、「アイドル」的なポートレイトがあしらわれたCDは、演奏内容に関係なく、気恥ずかしさが勝ってしまって、購入することが躊躇われるのだが、これは評判が良いみたいだし、選曲も好みなので、思い切って買ってみた。▼メインは冒頭に置かれた、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲。▼リサ・バティアシヴィリの音色は、ムターほど濃厚でなく、クレーメルほど鋭利でもない、中庸の美を感じさせる。▼演奏もまた然りで、「ショスタコのこの作品ってこんな美しい(だけの)曲だったっけ?』と思わせられるもの。▼ショスタコーヴィチの音楽に感じられる攻撃性や諧謔性はことごとく浄められてしまっている。▼DGに移籍してからはすっかり伴奏指揮者となってしまったサロネンとバイエルン放送響も完全にバッキングに徹している印象。▼ショスタコの演奏がこんな感じなので、カンチェリの『V & V』以降は、作品の性格とも相俟って、ヒーリング系というか、ニュー・エイジ系というか、病院の待合室のような感じ。▼ショスタコはもう一曲、『7つの人形の踊り』から「抒情的なワルツ」が収められているのだが、編曲のせいもあってか、『ニュー・シネマ・パラダイス』かっ!と思ってしまった。▼曲目リストを見たときは、ラフマニノフの『ヴォカリーズ』にはちょっと違和感があったが、この演奏と雰囲気のなかでは、ぴったりとハマっている。▼美しい、のだけれども、真っ白な壁とインテリアに囲まれた、塵ひとつ落ちていない清潔な部屋のなかにいるときのような居心地の悪さも感じさせる、不思議なレコード。

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by ok-computer | 2011-05-01 21:18 | 音楽 | Trackback | Comments(0)