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音楽の海岸

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カポーティ『誕生日の子どもたち』

▼カポーティ『誕生日の子どもたち』読了。▼カポーティは『遠い声、遠い部屋』を読んで、というか最後まで読めなかって以来、苦手意識があって、この短編集も2回目の挑戦。▼きっかけは『冷血』を読んで、カポーティを見直すことになったため。▼『冷血』は確かにとんでもない傑作で、以降カポーティがほとんど作品を書けなくなったと知っても納得の鬼気迫る筆力があった。▼一方、この短編集では『遠い声、遠い部屋』とも『冷血』とも違う、子どもを扱った作品が集められていて、イノセンスやその喪失について描かれている。▼物語に出てくる、フルーツパイや凧や足で漕ぐ子ども用の飛行機などの小道具の使い方がとても巧みで、美しいイメージが広がっていく。▼ただし、『無頭の鷹』だけは、『遠い声、遠い部屋』に通じるような、幻想的・実験的な作風で、やはり僕には読みずらかった。▼僕にとってカポーティとは、映画『カポーティ』でフィリップ・シーモア・ホフマンが演じた、厭らしいゲイの中年男ではなく、ザ・スミスの『心に茨を持つ少年』のジャケットにも使われた、セシル・ビートンが撮った写真のイメージ。▼『クリスマスの思い出』や『あるクリスマス』などはそのイメージにぴったりと当て嵌まる。▼どちらの短編も最後の数行が切なく美しい。

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by ok-computer | 2011-06-19 21:23 | 文学・本 | Trackback | Comments(0)

2011/6/11

▼ウディ・アレンの『サマー・ナイト』と『人生万歳』鑑賞。▼『人生万歳』はアレン監督の40作品目ということで、改めて僕が観たアレン作品を数えてみたら、この2作品で40本中37本を観たことになった。▼両作品ともに、アレン作品としては中の上のランク、ということになるだろうか。▼『人生万歳』は近作のなかでは一番笑える作品になっていると思う(「宗教かぶれの異常者ども、なぜうちで祈る?」)。▼もともとは70年代に書かれていながら、オクラ入りとなっていた作品ということで、その時代のアレンのテイストが強いのかもしれない。▼主要登場人物はすべて映画開始時点とは違うパートナーと結ばれることになるのだが、見終わった後はとても幸福な気持ちになる。▼登場人物たちが失敗や試練をいくつも経た後に、ようやく前向きな地点へと辿り着いているので、その幸福感は安っぽくはなく、説得力がある。▼『アニー・ホール』と『ハンナとその姉妹』を掛け合わせたような趣き。▼『サマー・ナイト』と『人生万歳』の共通点のひとつとして、2作ともにメンデルスゾーンの「結婚行進曲」が使われている点が挙げられる。▼特に『サマー・ナイト』は、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』を下敷きにしているということもあって、全編に渡ってメンデルスゾーンの音楽(のみ)が使われている。▼観賞後に、アバド指揮ロンドン交響楽団によるメンデルスゾーンの交響曲全集(+序曲集)を衝動的に買ってしまった。▼メンデルスゾーンの交響曲は『イタリア』しかまともに聴いたことがなかったので、『スコットランド』がこんなにも素晴らしい作品であることに今更ながら驚き、自分の無知に恥じ入ってしまった。▼交響曲第2番『讃歌』も面白い。▼ベートーヴェンの第九やマーラーの2番・3番あたりに通じるような、誇大妄想系の音楽だ。▼つまり、僕の大好きな世界ということになる。▼ただ、ベートーヴェンやマーラーと違って、良く言えばバランス感覚のあるところ、悪く言えば軽いところが、この作曲家の特性なのだろうな、と感じたりもした。▼それにしても「『真夏の夜の夢』序曲」は名曲だと思う。▼これはメンデルスゾーンの作品のなかで例外的にずっと前から好きだったもの。▼midsummer というのは日本では夏至のころに当たるのだそう。▼一年間で最も短い夜の夢。

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by ok-computer | 2011-06-11 21:22 | 音楽 | Trackback | Comments(0)