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音楽の海岸

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ハイティンクのショスタコーヴィチ交響曲全集

▼ベルナルド・ハイティンク指揮によるショスタコーヴィチの交響曲全集を聴き終える。▼バラで3枚持っていたが、HMVのセールとクーポンで3000円台にまで価格が下がったので思い切って購入した。▼「穏健派」と言われるハイティンクだが、たしかに4・5・8番の冒頭部分の落ち着いた佇まいを聴くとさもありなんだが、聴き進めていくと、ちゃんと鳴らすところは豪快に鳴らしていて、最近の去勢されたようなショスタコ演奏とは一線を画す。▼全体的にゆっくり目のテンポだが、決して先を急がずスコアを丁寧に音像化していくために結果的に遅くなっているといったような印象で、指揮者の主観性があまり表に出てこないのが好ましい。▼ただでさえ感情的なショスタコやマーラーの作品をあまり主観的に演奏することは感情や美学の上塗りをするみたいで、個人的にはトゥー・マッチに感じられてしまう。▼主観が欠如しているのではなく、主観を排除すること。▼演奏家の魂ではなく、作曲家の魂を響かせること。▼11枚組を聴き通すことが苦痛に感じられることもなく、ショスタコーヴィチの世界を堪能させてもらった。

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by ok-computer | 2013-12-31 19:54 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

『恋しくて Ten Selected Love Stories』

▼村上春樹編訳『恋しくて Ten Selected Love Stories』を読了。▼「愛し合う二人に代わって」「ジャック・ランダ・ホテル」「モントリオールの恋人」の三編が気に入った。▼村上氏のノーベル賞受賞は今年も叶わなかった代わりに、この本に収められた「ジャック・ランダ・ホテル」の作者であるアリス・マンローが受賞したということで、只では起きないというか、すごい偶然というか、いや、これこそ才能が才能を呼んでいるというべきなのだろう。▼『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』には否定的な意見も多く、ぼくもそれに近い感想を抱いたが、テレビに出たり、都知事になったり、都知事を辞めたりといった「作家」もいるなかで、いくら有名になっても必要以上に人前に出たりせず、あくまでも作家(あるいは翻訳家)としての人生をまっとうしている点については感服せざるを得ない。▼だからこそ、「恋するザムザ」などという、カフカの『変身』の後日談のような作品を書いたとしても軽く笑って許してあげよう。

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by ok-computer | 2013-12-28 21:41 | | Trackback | Comments(0)

最近聴いたもの(コーネリアス、R・シュトラウス、ポール・マッカートニー)

▼コーネリアスの『96/69 地球あやうし!!』。▼『69/96』を様々なアーティストがリミックスしたアルバム。▼近所の古本市場のセールで100円以下で買えた。▼交換用に買ったプラケースのほうが高かった(笑)▼この手のアルバムの例に漏れず、オリジナルを超える出来ではないし、なかには原曲の良さを損なうようなものもあるのだが、『69/96』を聴いたことのある者だけ限定で、幕の内弁当ないしはヤミ鍋のような楽しみ方は可能ではある。▼個人的に気に入ったのは以下の3トラック。▼想い出波止場による「Brand New Season」はダブ風の浮遊感ある音処理で原曲の雰囲気とマッチしていると思う。▼暴力温泉芸者による「Volunteer Ape Man(Disco)」は今作で最も長い10分を超えるリミックスで、最初は比較的マトモ(?)にすすんでいくが、3分を超えた辺りから耳が痛くなるようなノイズが2分強のあいだ続く。▼ちゃんと「静→動→静」の構成を踏んでいる辺り、滅茶苦茶のようで(ある程度は)計算しているようでもあり、一筋縄ではいかない。▼小山田圭吾の実父がメンバーの「和田弘とマヒナスターズ」が参加した、小西康陽による「World's End Humming」はラウンジ風というかムード歌謡風というか、本編ラストを飾るに相応しいさすがの出来。

▼リヒャルト・シュトラウスの管弦楽作品集。▼2014年が生誕150年のメモリアルイヤーだということで、各レコード会社から様々なCD発売のアナウンスがされているが、これはWarner Classicsよりフライング気味で発売されたボックスセットで、ルドルフ・ケンペがかつてEMIに録音した作品が収められている。▼「新たに発見されたテープからの新リマスタリング!」とジャケに謳われているだけあって、40年以上前の録音とは思えないほど音が良く、大管弦楽をフル活用するシュトラウスの作品を過不足なく鳴らしてくれる。▼耽美なメロディーをきらびやかな音飾でコーティングすることによってえも言えぬ陶酔感を生み出していくのがシュトラウスの特徴ではあるのだが、さすがに9枚も立て続けに聴いていると、「お祭り騒ぎの軽薄な音楽」だというアンチ・シュトラウスの気持ちが少し分かったような気がした(笑)▼そういったことも関係あるのか、馴染み深い『英雄の生涯』や『ドン・ファン』などよりも『家庭交響曲』や『ホルン協奏曲第2番』といった、これまでしっかりと聴き込んでこなかった作品により感銘を受けた。

▼ポール・マッカートニーの『Ram』。▼ポールのソロ作品(正確にはリンダとの共同名義になっているが)を購入したのはこれが生まれて初めてである。▼ぼくは元々(今も)ジョン・レノンのほうが好きだったし、『ジョンの魂』はビートルズのどのアルバムよりも素晴らしい!と思っていた時期もあったくらいなのだ。▼さらにぼくが十代の頃は、ポールが好きだなんて言うことは格好悪い(ロックじゃない)というような風潮もあった(と思う)。▼しかし実のところ、「Uncle Albert / Admiral Halsey」はその当時から大好きな曲で、それが収録された『Ram』を聴いてみたいと思っていたのだが、前述のポール聴く=格好悪い、という思い込みのせいで購入するのはずっと避けてきた。▼何ともバカバカしい限りだが、その当時は何を聴くかによって、その人のアイデンティティみたいなものが既定されるような気がしていたのだ(誰に糾弾されるわけでもないのに)。▼実際に作品を聴いてみると若き日の思い込みの空しさ加減はより際立つ。▼「Uncle Albert / Admiral Halsey」はもちろんのこと、「Too Many People」「Dear Boy」「Long Haired Lady」「The Back Seat Of My Car」など名曲揃いのアルバムであることに驚く。▼ビーチ・ボーイズ、というかブライアン・ウィルソンの影響が色濃く出ていることが発見というか、なかなかおもしろい。▼人生のなかで一度も聴く機会のない曲など数え切れないくらいあるわけだから、もっと早く出会えなかったことを後悔するよりは、時期に関係なく出会えたことの幸運を噛み締めたい。

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by ok-computer | 2013-12-18 18:29 | 音楽 | Trackback | Comments(0)