人気ブログランキング |

音楽の海岸

<   2014年 06月 ( 2 )   > この月の画像一覧

ルー・リード『Rock ‘n’ Roll Animal』

▼ルー・リードの『Rock ‘n’ Roll Animal』を聴く。▼ヴェルヴェッツ時代の海賊盤なみのライブ・アルバムを聴き馴れていたので、「Sweet Jane」前のイントロが流れた瞬間、「音が良い、それに演奏も上手い!」とびっくり。▼コンサート自体もクラブなどではなく、ちゃんとしたホールで行われたのだろう、観客の歓声にもルーへの熱意と敬意が感じられる(でもルーはその観客に対して「シャラップ!」とか言っている)。▼音の意匠はルー・リードなりのグラム・ロック仕様になっていて、ギターがハードロックっぽくなったり、キーボードがプログレっぽくなったりする部分もあって、つまりはいかにも70年代的な音が鳴っている。▼でも、これがヴェルヴェッツの『1969 Live』より優れたライブ・アルバムかといえば、「No!」と言わざるをえないだろう。▼このアルバムで聴くことのできる音は、色をたくさん使いすぎているし、上塗りしすぎてもいる。▼「Rock ‘n’ Roll」後半のジャム・セッション風のくだりなどは、絶対ヴェルヴェッツではできなかっただろうと思わせるが、ロック音楽の場合、演奏技術の巧みさがそのままその音楽の魅力に繋がるとは限らないのが不思議であり面白いところ。▼それでも聴き通すことができたのは、気合いの入ったルーのボーカルのおかげで、後年のストイックで旋律の感じられない歌声とは違って、この頃のルーの声には色気があり、語りのなかにも歌が感じられる。

f0190773_11442893.jpg
by ok-computer | 2014-06-28 11:44 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

坂本龍一『COMICA』

▼坂本龍一の『COMICA』を聴く。▼サカモト流アンビエント・ミュージック、あるいは都市生活者のサウンドトラックとでもいうべき内容。▼「dawn」「day」「sunset」「night」というタイトルからも分かるように、最初の4曲は組曲的な繋がりを持つものになっていて、控え目な電子音のうえに素描的なピアノがポツリポツリと紡がれてゆく。▼この文章を書いている最中に流していてもまったく邪魔にならないどころか、意識しなければ音楽の存在さえも忘れてしまいそうな、まさに「アンビエント」な音楽でありながら、雲のような音の塊が後半になるにつれて徐々に高まりをみせていくところなど、能動的な鑑賞にも耐えうるクオリティとなっていることは(当たり前だが)さすがと言うしかない。▼後半2曲はピアノ抜きで、ややノイズ音楽、または現代音楽寄りの作品となっている。▼とくに5曲目の「d2」はこのアルバムの白眉ではないだろうか。▼聴く人が聴けば耳障りとしか思えないであろう高周波ノイズが逆説的な心地良さを誘う。▼以前にも書いたが、坂本龍一のメロディーメイカーとしての才能は、彼のラジカルな本質を隠してしまう、ときに諸刃の剣のような足枷となっているような気がすることがある。▼それゆえに、この『COMICA』のような、メロディーの呪縛から解き放たれたような作品を聴くと、彼のエッセンスがダイレクトに伝わってくるようで個人的には好ましく感じられる。▼ビミョーなイラストのジャケットのせいで損をしているが、コンディションにこだわらなければ比較的安価で入手することは可能なので、『out of noise』が好きな方であれば聴いてみても(聴き手は)損はしないと思う。

f0190773_22562248.jpg
by ok-computer | 2014-06-19 22:56 | 音楽 | Trackback | Comments(0)