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音楽の海岸

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又吉直樹『火花』

新作が出たからなのか、近くの図書館で予約しなくても借りれるようになったので、又吉直樹の『火花』を読んでみた。たまには話題の書でも読まなければネ・・・と思ってのことだけど、考えてみれば話題になってから2年以上も経っているので、いずれにしても世間からは完全にズレてしまっている。

評価するのは難しい。しかし、思っていたよりはずっと良かった。無理をせず、自分のフィールド(=芸能の世界)を舞台にしたことが成功の一因ではないか。特にラスト近くにある漫才のシーンは秀逸で、最初にこのシーンを思いついて、そこから逆算して作品を書いていったのではないかと思うくらい飛び抜けて良く書けている。一方で、その後のエピローグ部分ではとんでもない飛び道具が出てくるので座りが悪いというか、読後には奇妙な余韻を残す。

総体的にみれば、美点も欠点も同じくらいあるので、読者が良いところ(だけ)を見るか、悪いところ(だけ)を見るかによって評価は大きく変わってくると思う。「惜しい!」というのが個人的な感想。芥川賞を同時受賞した羽田圭介の『スクラップ・アンド・ビルド』よりは楽しく読ませていただきました。

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by ok-computer | 2017-06-26 10:48 | 文学・本 | Trackback | Comments(0)

21世紀のベスト・アルバム(これまでのところ)⑩

Sun Kil Moon / Benji

レッド・ハウス・ペインターズ時代からやっていることは殆ど変わらないのに継続は力なり、ということか。
長大な日記のような歌詞、ナイロン弦のアコースティック・ギターを中心にしたサウンド、
そして、マーク・コズレックの苦みのある深い歌声。
それらで構成される小宇宙がこれまでになく多くの共感を生んだ2014年の作品。



by ok-computer | 2017-06-25 17:05 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

21世紀のベスト・アルバム(これまでのところ)⑨

Rufus Wainwright / Poses

最近は歌の巧い人が陥りがちな過剰さが鼻につく感じだが
このアルバムではシンガーとソングライターとのバランスが取れていて素晴らしい。
ティン・パン・アレーのアーティストやランディ・ニューマン、ヴァン・ダイク・パークスといった
アメリカ音楽の良質なエッセンスが引き継がれている。



by ok-computer | 2017-06-24 19:21 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

21世紀のベスト・アルバム(これまでのところ)⑧

The Strokes / Is This It

このアルバムが21世紀になってから出たことを忘れてしまいそうになるが
「The Modern Age」のイントロが鳴り響いた瞬間の、
これから新しいことが始まるんだ!という確かな予感については忘れてはいない。
すでに時代を超えてしまっている名盤。



by ok-computer | 2017-06-15 00:28 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

坂本龍一『async』

いやー、素晴らしい。
極端に聴き手を選んでしまうような、人によっては記号論的な音列を並べただけの作品に聴こえかねないような、
前作の『out of noise』以上に挑戦的で、過激で、それでいて静謐な楽曲たち。
アルバム中、最も分かりやすい旋律を持つオープニングの「andata」の途中から立ち現れるノイズに、
アルバムが進むに連れて徐々に浸食されてゆき、最終曲「garden」では遂にその音響にすべてが覆われてしまう。
優れたアルバムの多い人なので、これが最高傑作!とは簡単には言えないけれど、
『B-2 Unit』や『Esperanto』とはまた違った音楽の到達点と呼ぶべき、極北の一枚。
何より嬉しいのは、この後まだまだ教授には凄い作品が作れそうなポテンシャルに溢れていること。

アメリカの配給先であるMilan Records USAが、アルバム全曲をYouTubeで配信中。



「andata」は、『year book 2005-2014』にも収められた
オーストラリアのデュオ・ユニット“ソロ・アンダータ"の曲Look For Me Here」の
リミックス版の後半部分に教授が付け足したオルガンのフレーズがその原曲。



アルバム・ラストの「garden」。
美しくコントロールされたノイズによる究極の音響作品。
いつまでも浸っていたい。




by ok-computer | 2017-06-14 22:41 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

21世紀のベスト・アルバム(これまでのところ)⑦

Deerhunter / Halcyon Digest

U.S.インディー・ロックの正統的な後継者であるディアハンターは
ロック・バンド受難の21世紀においてもコンスタントに名作を世に送り出し続けている。
ニュー・ゲイザー、ネオ・サイケデリア、ドリーム・ポップ、といった
彼らの音楽を形容する言葉を最も体現しているのがこのアルバムだが
彼らはまだ創作のピークには達していないような気がする。



by ok-computer | 2017-06-13 22:05 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

21世紀のベスト・アルバム(これまでのところ)⑥

Kate Bush / Aerial

円周率や洗濯機や透明人間について歌い、鳥とデュエットする。
世紀を跨いで12年ぶりに発表されたこのアルバムは
ケイト・ブッシュにとって2度目となる創作上のピークになった。
9つのパートから成る、42分に及ぶ組曲「A Sky of Honey」が圧巻。



by ok-computer | 2017-06-12 00:08 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

21世紀のベスト・アルバム(これまでのところ)⑤

The Horrors / Primary Colours

日本のヴィジュアル系みたいだったこのバンドが
「Sea Within a Sea」を出したときの衝撃といったら!
自らの語法を発見したバンドの勢いと興奮がそのままパッケージされている。
その後の活動がイマイチなので、少し損をしている気もするが。



by ok-computer | 2017-06-11 16:14 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

21世紀のベスト・アルバム(これまでのところ)④

Wolf Alice / My Love Is Cool

このアルバムが出るまでウルフ・アリスに注目していた人はそれほどいなかった(はず)。
しかし、これは欠点を見つけることが難しいくらい、ほぼ完璧なデビュー・アルバムだ。
『T2 トレインスポッティング』で使用された「Silk」は
アルバム中、最もポップでシングル向きの曲だが、シングルにはならなかった。
(アルバムからは5曲もシングルカットされたのに!)



by ok-computer | 2017-06-10 23:56 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

21世紀のベスト・アルバム(これまでのところ)③

These New Puritans / Field of Reeds

クラシック音楽に影響を受けたロック、
と書いてしまうと陳腐に聞こえてしまうが、
他に類を見ないくらい個性的な(そして美しい)音楽。
ロック・バンドによるポスト・ロックの金字塔。



by ok-computer | 2017-06-09 23:21 | 音楽 | Trackback | Comments(0)